上の歯だけ目立たず矯正できるハーフリンガル矯正とは

歯列矯正で装置が最も目立たないのは「裏側矯正」です。リンガルブラケット装置を歯列の裏側に固定する方法で、上下ともに装置が“まったく見えない”といっても過言ではありません。ただ、上下とも裏側の“フルリンガル”にすると、それ相応のデメリットを伴うのも事実です。

そこで、もうひとつの選択肢として用意されているのが“ハーフリンガル”で、上の歯だけ目立たず矯正できます。今回はそんなハーフリンガル矯正の特徴やメリット・デメリット、どんな人にオススメの治療法なのかを名古屋市千種区の星ヶ丘矯正歯科がわかりやすく解説をします。

ハーフリンガル矯正とは

上だけ裏側の矯正治療

ハーフリンガル矯正は、裏側矯正の一種です。上だけ歯列の裏側にリンガルブラケット装置を固定することから、ハーフ(半分)リンガル矯正と呼ばれています。ハーフリンガル矯正は、裏側矯正と表側矯正を同時に行う治療法なので、患者さんからすると戸惑ってしまう面も多いかもしれません。とくに口腔ケアは慣れるまでに少し時間がかかりますが、歯科医師の指示通りに治療を進めていけば、大きなトラブルに見舞われることなく出っ歯などの歯並びを治せます。

フルリンガル矯正との違い

冒頭でも述べたように、フルリンガルは上下の歯列の裏側にリンガルブラケット装置を固定します。出っ歯や受け口、乱ぐい歯など、適応できる範囲に違いはありませんが、見た目の面ではフルリンガルの方がやや優れています。値段はフルリンガルよりもハーフリンガルの方が安いことが多いです。なぜなら裏側矯正は表側矯正よりも高い技術が求められるだけでなく、装置も特別なものを使うからです。

ハーフリンガル矯正のメリット・デメリット

ハーフリンガル矯正には、次に挙げるようなメリットとデメリットを伴います。

ハーフリンガルのメリット

  • 1. 表側矯正より目立たない
  • 2. フルリンガルよりも費用を抑えられる
  • 3. 違和感が少なく、しゃべりやすい

【メリット1】表側矯正より目立たない

上の歯だけ裏側にブラケットをつけるハーフリンガル矯正は、表側矯正よりも装置が目立ちません。フルリンガルと比べると審美性にやや劣りますが、正直、気にならないという方が多いです。なぜなら私たちの口元は、もともと上顎の歯列が見えやすくなっているからです。笑った時には口角が上がると、上顎の歯列が露出して、下顎の歯列は下唇で隠れます。口を大きく開けた時も下顎で目立つのは、どちらかというと歯列の裏側です。もちろん、口を「いー」とした時には、下顎も表側が目立ちますので、審美面を追求したい場合はフルリンガルが推奨されます。

【メリット2】フルリンガルよりも費用を抑えられる

ハーフリンガル矯正は、フルリンガル矯正よりも費用を抑えられることが多いです。一般的には、ハーフリンガル矯正の方がフルリンガル矯正よりも200,000~300,000円程度安いです。フルリンガル矯正は1,400,000~1,700,000円程度かかるのが一般的なので、数十万円の費用を節約できることは患者さんにとって大きなメリットとなることでしょう。

ちなみに、名古屋千種区の星ヶ丘矯正歯科では、ハーフリンガルとフルリンガルを同一の料金で対応しております。どちらも1,320,000円~1,430,000円(税込)で治療を受けることが可能です。

【メリット3】違和感が少なく、しゃべりやすい

裏側矯正は、舌がある方に装置を固定するため、発音や滑舌が悪くなることがあります。装置の位置関係上、表側矯正より違和感や異物感も大きくなりがちです。下だけ表側矯正にできるハーフリンガル矯正なら、そうした装着感や使用感の問題を最小限に抑えられます。

ハーフリンガルのデメリット

  • 1. 歯磨きがしにくい
  • 2. 人によっては装置が目立つ
  • 3. 装置がつけられないことがある

【デメリット1】歯磨きがしにくい

裏側矯正は、表側矯正よりも歯磨きがしにくいです。鏡を見ながらブラッシングすることもできないため、コツをつかむまでには時間がかかります。また、ハーフリンガルの場合は、裏側と表側に装置が付いていることから、口腔ケアの難易度はフルリンガルよりも高くなる場合もあります。いずれにしても装置をつけてから数週間程度で慣れますので、過剰に心配する必要はありません。

【デメリット2】人によっては装置が目立つ

ハーフリンガルでは、下顎を表側矯正にするため、笑い方や歯並び・噛み合わせの状態によっては装置が目立ちます。つまり、下の歯がたくさん見える人にはあまり向いていない矯正法といえるのです。

【デメリット3】装置がつけられないことがある

患者さんの歯並び・噛み合わせの状態によっては、そもそもハーフリンガルの装置をつけられないことがあります。その場合は、フルリンガルか表側矯正を選択せざるを得ません。

ハーフリンガル矯正はこんな方にオススメです

ここまでハーフリンガルの特徴やメリット、デメリットについて解説してきましたが、どんな人に向いている治療法なのかも知りたいことかと思います。

フルリンガルよりも費用を抑えたい

装置がまったく見えない裏側矯正には関心があるけれど、フルリンガルは値段が高いので、なかなか決断できないという方は、比較的値段が安いハーフリンガルがオススメです。ハーフリンガル矯正でもフルリンガル矯正と同様、出っ歯や受け口、乱ぐい歯などを治すことができます。

表側矯正には抵抗がある

ブラケット装置を上下とも表側に設置する表側矯正は、最も目立ちやすい歯列矯正です。ホワイトワイヤーやセラミックブラケットを選択することで審美性を改善することは可能ですが、ハーフリンガル矯正ほど目立たなくなることはありません。オプションを追加することで、値段も結果的に高くなってしまいます。それならば裏側矯正の中では値段が安いハーフリンガル矯正を選択した方が良い場合も少なくありません。

違和感や発音への影響を抑えたい

上と下の装置を裏側に固定するフルリンガル矯正は、装着時の違和感や発音への影響が大きくなりがちです。そうした日常への影響を最小限に抑えたいという方には、フルリンガル矯正ではなく、ハーフリンガル矯正の方がオススメです。

まとめ

今回は、上の歯だけリンガルブラケット装置を装着するハーフリンガル矯正の特徴やメリット、デメリットについて、名古屋市千種区の星ヶ丘矯正歯科が解説しました。ハーフリンガル矯正は、表側矯正と裏側矯正(フルリンガル矯正)のちょうど中間に位置するような治療法といえます。その特徴を正しく理解すると、極めて有用な矯正法であることもわかります。

ただ、人によっては表側矯正もしくはフルリンガル矯正の方が適している場合もありますので、どれにしようか迷っている方は、お気軽に当院までご相談ください名古屋市の星ヶ丘矯正歯科は、表側矯正・フルリンガル矯正・ハーフリンガル矯正のすべてに対応している歯医者さんです。

著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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