マウスピース矯正を途中でやめてもOKです。その理由は・・・

マウスピース矯正は、快適性の高さから歯並びの治療の敷居を大きく下げたことは間違いありません。実際、当院でもマウスピース矯正で歯並びの問題を快適に治せた方はたくさんいらっしゃいます。

ただし、マウスピース矯正にはワイヤー矯正にないデメリットもいくつか伴います。そのためマウスピース矯正をやめたいと考える方が一定する存在するのも事実です。今回は、そんなマウスピース矯正をやめたくなる理由と途中でやめるリスクやデメリット、別の矯正法に変更する方法などを名古屋千種区の星ヶ丘矯正歯科がわかりやすく解説します。

マウスピース矯正をやめたくなる理由

マウスピース矯正は、次に挙げるような理由から途中でやめたいと思う方がいらっしゃいます。

装置の着脱が面倒

マウスピース矯正の装置(アライナー)は、ほぼ1日中装着することになりますが、食事や歯磨きの際には取り外さなければなりません。単に装置を着脱するだけならそれほど面倒ではありませんが、その都度お口とアライナーの両方をきちんとケアしなければならない点に、煩わしさを感じる方が多いようです。

アライナーの装着時間を守れない

マウスピース矯正では、アライナーを1日20~22時間装着しなければなりません。これは食事と歯磨きの時間を除くと、ほぼ丸一日を意味します。それは固定式のワイヤー矯正とほぼ同じではあるのですが、着脱式であるがゆえに自分の意志で装置を外せてしまう点がかえってデメリットとなる場合もあります。

例えば「休日で外出する時くらいなら」とか「今日は大切なプレゼンがあるから日中はアライナーを外しておこう」といった感覚で、決められた装着時間を守れないケースも珍しくありません。その結果、歯がいつまで経っても移動せず、マウスピース矯正を途中でやめたいと思うようになるのです。

間食しにくい

これはマウスピース矯正をスタートして初めて実感することかもしれません。マウスピース矯正は装置を自由に取り外せるため、何も着けていない状態で食事ができます。ブラケットやワイヤーが邪魔になる従来法とは大きく異なる点で、食事制限がかからない矯正法といえるでしょう。ただし、それは装置を外している時だけに限られます。

アライナーを装着した状態では、基本的に「水」しか口にすることはできません。クッキーを一つだけつまんだり、清涼飲料水を一口だけ飲んだりすることはできないのです。この点は毎日の生活の中で間食をする機会が多い人ほど、デメリットに感じやすいです。もちろん、間食をする度にお口とアライナーをお掃除すれば良いのですが、正直、面倒と感じる人が多いのが現実です。

装置による違和感・異物感がなくならない

マウスピース矯正のインビザラインは、0.5mm程度の厚みのアライナーを使用します。歯茎まで覆われることはなく、表面も滑らかであることから、装着感は比較的良好です。けれども、マウスピース型矯正装置にはマルチブラケット装置にはない独特の違和感・異物感があります。

上下の歯列が装置によって完全に覆われているため、「発音しにくい」「口が閉じにくい」「吐き気を催すことがある」といった症状に悩まされる方も少なからずいらっしゃいます。そうしたアライナーによる違和感・異物感がマウスピース矯正をやめたいという動機になる場合もあります。

マウスピース矯正を途中でやめるリスクとデメリット

ここからはマウスピース矯正を実際に途中でやめた場合のリスクやデメリットについてご説明します。

歯の後戻りが生じる

マウスピース矯正を途中でやめると、間もなく歯の後戻りが始まります。矯正をやめた段階にもよりますが、これまでの努力が水の泡となってしまうことでしょう。

矯正前より噛み合わせが悪くなる

矯正中は、噛み合わせが常に変化していきます。タイミングによっては矯正前より噛めない状態となっていることも珍しくありません。その状態で放置をすると食べ物を噛む機能が低下するだけでなく、歯並びをさらに悪くすることにもつながります。抜歯をしてマウスピース矯正を始めた場合は、悪影響も大きくなりやすいです。

支払った費用が無駄になる

マウスピース矯正は、スタートの段階ですべてのアライナーが完成しています。そのため矯正をやめたタイミングにかかわらず、支払った治療費の大半は返金されないものとお考えください。マウスピース矯正を途中でやめた場合の返金の割合というのは、歯科医院によって異なります。

途中から矯正治療を変えることができます

このように、マウスピース矯正はいくつかの理由でやめたいと思う方も少なくありません。けれども、マウスピース矯正を途中でやめることは、上段で解説したようなリスク・デメリットを被ることになるため、どうしたら良いのかわからないと袋小路に入ってしまっている方もいらっしゃるかもしれません。

当院ではそんな方に「マウスピース矯正を途中でやめてもOKです」とお伝えすることもあります。どうしても辛いことを無理に続けることは、精神衛生上も良くありません。ただ、マウスピース矯正を途中でやめるリスクやデメリットを最小限に抑える方法を模索することは重要です。その際、私たちが提案させていただくのが矯正法の変更です。

ワイヤー矯正への変更

ワイヤー矯正は、最もポピュラーな歯並びの治療法です。ほとんどの歯並びに適応できるため、マウスピース矯正からの変更も十分に可能です。むしろワイヤー矯正の方が噛み合わせまで細かく調整できますので、より良い仕上がりが期待できるかもしれません。

また、ブラケットとワイヤーは歯科医師が固定することから、患者さんに管理していただくことがほとんどない点も大きなメリットといえるでしょう。間食も自由に行えます。マルチブラケット装置は、マウスピース矯正のアイライナーとは少し異なる違和感・異物感を伴いますが、2~3週間で気にならなくなります。

審美面が気になる方は裏側矯正がおすすめ

ワイヤー矯正は、装置を歯列の裏側に設置する方法もあります。いわゆる“裏側矯正”なら、装置がまったく見えないため、マウスピース矯正よりも審美性に優れているといえます。星ヶ丘矯正歯科は裏側矯正が得意な歯医者さんですので、マウスピース矯正から裏側矯正に変更したいという方はいつでもお気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、マウスピース矯正を途中でやめたいと思う理由とやめた場合の対処法について、名古屋千種区の星ヶ丘矯正歯科が解説しました。マウスピース矯正は、実際に治療が始まってから思わぬデメリットに気付くものです。当院のようなマウスピース矯正とワイヤー矯正の両方に対応している歯科医院であれば、治療法を柔軟に変更することも可能です。何よりも大切なのは矯正治療をやり遂げることです。そのために矯正法を変更することは、何ら悪いことではありません。

著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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