裏側矯正中の歯磨きはここがポイント!サボると危険です

裏側矯正は装置がまったく見えない治療法なので、周囲に気付かれることなく歯並びをきれいにできます。その審美性の高さは、マウスピース型矯正装置以上です。けれども、治療中は我慢をしなければならないことなどもあり、裏側矯正を途中でやめたいと思う場面も多々あるかと思います。

今回はそんな裏側矯正をやめたいと思う理由や途中でやめるリスク、やめると決めた場合に行うべきことについて、名古屋市の星ヶ丘矯正歯科が解説します。

裏側矯正中も歯磨きできる?

裏側矯正は、鏡を通しても装置がまったく見えないことから、そもそも歯磨きをきちんとできるのかが疑問点として浮上します。下顎の装置については、手鏡の角度を変えることでよく見えるようになりますが、上の顎の装置はほとんど見えない状態で歯を磨くことになります。

とはいえ、裏側矯正中でも歯磨きは十分に行うことができますので、その点はご安心ください。ただし、いろいろな歯磨きグッズを活用し、歯の磨き方も工夫する必要があります。標準的な表側矯正と比較した場合は、裏側矯正の方が歯磨きの難易度も少し上がります。

裏側矯正中の歯磨きのポイント

裏側矯正中は、次に挙げるポイントを意識しながら歯磨き・口腔ケアを実施してください。

ポイント1:歯ブラシの毛先をワイヤーの間に入れ込む

まず、ブラケット装置の周辺を磨く際には、歯ブラシをワイヤーと平行に当てることを意識してください。歯ブラシの毛先はワイヤーの間に入れ込んで、左右に小刻みな振動を与えます。ブラケットや結紮線(けっさつせん)などが引っ掛かり、スムーズにブラッシングできないこともありますが、そこは歯ブラシの角度などを変えながら、上手に磨いていってください。そうしたブラッシングをワイヤーの上段と下段で実施します。

この時、「インターブレイス」という矯正装置を磨くために開発された歯ブラシを使うと、効率よくブラッシングできます。ブラシが中央に向かって山型になっており、ワイヤーの間に入れ込みやすくなっているのです。3列ブラシでプラークコントロールもしやすいです。

ポイント2:ブラケット装置の表面も磨く

ブラケット装置の表面もブラッシングします。ワイヤーやブラケットの間に入った汚れを取ることよりは簡単ですが、装置が見えないこともあるため、コツを掴むまでには時間がかかります。始めのうちは鏡で確認しながらブラッシングを進めていくと良いでしょう。

ポイント3:歯列の表側を磨く

矯正装置が入っている歯列の裏側のブラッシングが終わったら、次は表側です。表側は、普段通りに磨いていただいて問題ありません。裏側矯正中だからといって特別に配慮しなければならない点はありません。

ポイント4:歯磨きグッズを活用する

矯正装置を装着している部位は、通常の歯ブラシだけではなく、ポイント1で紹介したインターブレイスやワンタフトブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシなども適宜、活用するようにしましょう。どの歯磨きグッズが最適であるかどうかは、患者さんの歯並びや装置の状態によって異なりますので、歯科医師や歯科衛生士と相談しながら決めていきましょう。マウスウォッシュやデンタルリンスなどは、装置の隅々まで有効成分を行き渡らせることができるため、裏側矯正中は積極的に活用したいところです。

歯磨きをサボると危険です

裏側矯正中の歯磨きは、普段よりも手間がかかることから、どうしてもサボりたくなるものです。とくに疲れている時や外出している時などは、「今日くらいはサボってもいいかな」と思ってしまいがちですが、それは良くありません。裏側矯正中に歯磨きをサボると、さまざまなリスクが生じます。

リスク1:虫歯になる

ブラケット装置の周りは、汚れがたまりやすくなっています。食後の歯磨きを1回でもサボると、装置に食べかすなどが残ります。歯垢の形成も促されて虫歯リスクが大きく上昇することでしょう。ブラケット装置があると、虫歯も自覚しにくいことから、気付いた頃にはかなり進行していることも珍しくありません。その結果、裏側矯正を中断して、虫歯治療に専念しなければならなくなる可能性も出てきます。

リスク2:歯周病になる

歯磨きを頻繁にサボっていると、装置に周りに歯石が形成されます。歯石は、細菌の繁殖を促し、歯周病リスクを増大させます。歯周病は、歯茎や顎の骨に炎症をもたらす病気であり、歯を移動させる矯正治療には深刻な悪影響が及びます。

リスク3:口臭・着色が強くなる

裏側矯正中に歯磨きをサボると口臭が強くなります。食品の色素も沈着しやすくなり、歯の黄ばみも強くなることでしょう。これらは矯正治療の妨げになったり、歯や歯茎の健康を直接的に害したりするものではありませんが、心理面において悪影響が及ぶことが予想されます。

◎外出中の歯磨きについて

歯並びの治療を行っている期間中は、外出の際に歯磨きをサボりがちです。ただでさえ歯磨きに時間がかかるのに、周りに人がいる状態でブラッシングしなければならないのは強いストレスがかかることでしょう。そうした状況では、食後にマウスウォッシュを使ってお口の中をゆすぐだけでも構いませんので、必ず実行するようにしてください。

理想を言えば、自宅で使っている歯磨きグッズを常に持参して、外出先でも適切な場所を見つけてしっかり歯磨きすることが大切です。職場や学校の人には裏側矯正中であることを伝えておくと、お手洗いでの歯磨きも理解が得られやすいかと思います。

まとめ

今回は、裏側矯正中の歯磨きのポイントや重要性について、名古屋市の星ヶ丘矯正歯科が解説しました。リンガルブラケット装置(裏側矯正)は少し特殊な治療法なので、歯磨きにも特別な配慮が必要となります。裏側矯正中の歯磨きをサボると、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、歯並びの治療を中断しなければならなくなることもありますので、毎日しっかりケアするよう努めましょう。

そんな裏側矯正中の歯磨きについてもっと詳しく知りたい、疑問に感じている点があるという方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。当院は、裏側矯正のみで250症例以上の実績がある矯正歯科です。矯正認定医の院長がていねいにカウンセリングいたします。

著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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