裏側矯正の治療期間について。出っ歯や過蓋咬合は期間が長い?

目立たない装置で矯正をしたい、という方には「裏側矯正」がおすすめです。一般的なワイヤー矯正(=表側矯正)と同等、あるいはそれ以上の力で歯を動かせるにも関わらず、装置が見えにくい・目立たないので、数年に及ぶ矯正期間も快適に過ごすことができます。

ただ、裏側矯正は審美面におけるメリットが大きい反面、“治療期間が長くなる”という話をよく耳にしますよね。ここではそんな裏側矯正の治療期間について、さまざまな観点からわかりやすく解説します。

裏側矯正の平均期間と注意点

抜歯なしで1~2年、抜歯ありで2~3年

ひと昔前までは、裏側矯正の技術がまだ確立されていなかったため、表側矯正と比較すると適応範囲が狭い、治療期間が長くなる、といったデメリットがありました。けれども、今現在は裏側矯正の治療システムも確立され、表側矯正と同じようにいろいろな歯並びを治せるようになっています。

また、裏側矯正の治療期間も表側矯正とほぼ同じです。抜歯なしの症例であれば1~2年、抜歯ありの症例では2~3年で歯の移動を完了させることが可能です。

抜歯に関する注意点

上述したように、抜歯をするかしないかによって、裏側矯正の治療期間は1年前後変わってくることがあります。そう聞くと「抜歯あり」で矯正することは良くないことのように感じますよね。

そもそも矯正における便宜抜歯は、虫歯や歯周病にかかっていない健康な歯を抜くことが多く、それ自体に抵抗を感じる人は少なくありません。また、抜歯に伴う痛みも不安要素の1つです。

当院も患者さまのかけがえのない天然歯を残すことに全力を尽くしますが、歯並びや顎の骨の状態によっては抜歯が不可避となるケースも多々あります。そこで無理して非抜歯を選択すれば、治療期間は短くなるものの、矯正の仕上がりは間違いなく悪くなります。

ですから、抜歯をするかどうかは、治療期間の長さではなく、矯正治療による仕上がりを優先して判断することになりますので、その点はご注意ください。

出っ歯や過蓋咬合の裏側矯正は期間が長い?

名古屋市の星ヶ丘矯正歯科では、これまで裏側矯正のみで250症例以上の治療を行ってきました。そのため、いろいろな症例を裏側矯正で治療することができるのですが、出っ歯や過蓋咬合(かがいこうごう)といった歯列不正・不正咬合だと、治療期間は長くなるのでしょうか?

出っ歯・過蓋咬合も治療期間は変わりません

結論からいうと、出っ歯や過蓋咬合を裏側矯正で治す場合でも、治療に要する期間は表側矯正と大差ありません。とくに当院のような先進の技術・材料を用いた裏側矯正なら、出っ歯や過蓋咬合の治療でも期間が長くなるようなことはありませんのでご安心ください。ただし、過蓋咬合については少し配慮しなければならない点があります。

過蓋咬合の注意点

過蓋咬合とは、かみ合わせが深い状態を指します。かみ合わせが深いと、上の歯列が下の歯列に覆い被さり、歯と歯の接触が起こりやすくなる、という難点が生じます。そこで注意が必要となるのが前歯部の接触関係です。

正常な歯並びをしている人もそうですが、自然に噛んだ時に、上の前歯の裏側と下の前歯の表側がかなり近づきますよね。これが過蓋咬合ともなると、噛むたびに接触が起こることも珍しくありません。

しかも裏側矯正では、上の前歯の裏側にブラケットやワイヤーを設置するので、下の前歯の表側との接触が避けられなくなります。そうしたケースで行われるのが「バイトアップ」という処置です。

バイトアップと期間について

バイトアップとは?

バイトアップとは、かみ合わせを浅くする歯科処置です。バイトアップにはいろいろな方法がありますが、最もポピュラーなのは奥歯の噛む部分にセメントなどを盛り足す手法。奥歯が物理的に高くなり、かみ合わせも自ずと浅くなります。

バイトアップをした直後は噛んだ時の感覚が大きく変わり、戸惑ってしまう方も少なくありませんが、矯正装置と同じよう、数日経過すればだんだんと慣れてきますのでそれほど心配する必要はありません。

バイトアップの期間はどのくらい?

バイトアップが必要となる期間は、ケースによって変わりますがそれほど長くはありません。標準的なケースなら3~6ヶ月程度、少し難しい症例では1年前後の期間、バイトアップすることになります。裏側矯正を行う2~3年間ずっとバイトアップしているようなことはないのでご安心ください。

ゴムかけと期間について

裏側矯正ではもうひとつ「ゴムかけ」という処置を施すことがあります。これは表側矯正でもよく行う処置ですが、専門的には「顎間ゴム」といいます。

その名の通り上の顎と下の顎にゴムを引っ掛けて、歯の移動を促します。顎間ゴムにもいろいろな種類があり、どのくらいの期間装着するのかは一概に語ることが難しいです。1ヶ月程度のゴムかけで十分な効果が得られることもあれば、1年以上続けることもあります。ですから、ゴムかけの期間については治療計画を立てる段階にならないと明確にはわかりません。

裏側矯正の保定期間はどのくらい?

歯を移動させる「動的治療」が完了したら、裏側矯正でも保定期間に入ります。リテーナーと呼ばれる専用の器具を用いて、歯の後戻りを防ぎます。

リテーナーにはいろいろな種類がありますが、ブラケット装置ほど負担が大きいものではありませんのでご安心ください。器具による痛みを感じることもほとんどありません。そんな保定処置は、動的治療と同程度の期間を要するため、平均的には1~3年程度といえます。

まとめ

このように、裏側矯正の治療期間は抜歯なしで1~2年、抜歯ありで2~3年となっており、表側矯正とあまり変わりません。出っ歯や過蓋咬合の裏側矯正も治療期間が極端に長くなるということもありません。

その他、裏側矯正について不安に感じることや疑問に思うことがあればお気軽に星ヶ丘矯正歯科までご相談ください。当院は裏側矯正の診療実績が豊富ですので、さまざまなケースに対応できます。

著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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